マーケティング · 2023/12/02

市販の布くまより、かぎ針編みのあみぐるみの方が様々なデザインに挑戦できる理由とは？

パーツの位置をちょっと変えるだけで、別のくまちゃんになる

いつもと違うくまちゃんを作って、試しに売ってみる

この真ん中のくまちゃんは写真を見てもわかる通り、お耳が少しだけ真ん中に寄っています。大抵のあみぐるみのくまちゃんは、標準的な定位置にお耳がついているのがフツウです。それでは単純で面白くないので、このくまちゃんのお耳は寄せてみました。実はお鼻もフツウよりは少し下側につけています。このように、フツウの定位置にパーツをつけていないのである意味冒険しました。

あみぐるみの面白いところは、パーツの位置をちょっとずらしたり大きさを変えたりするだけで、別人いえ別熊になるところです。常識と違うくまちゃんを、ハンドメイドであればちょっと試してみる、大胆に冒険してみるといったことが気兼ねなくできます。

ところがハンドメイドは、とくにかぎ針編みのくまちゃんは少しずつ、なんなら一つずつ様々なデザインのくまちゃんを作り、実際にマルシェで販売してお客様の反応を見ることができます。しかもですよ、売り場でさえ様々な出店先で販売し、その反応が稀なことではないことを確かめることができます。

会社では、最終的に無難なくまちゃんになる

これが会社でチームを組んでぬいぐるみのくまちゃんを作ろうとするならば、大抵万人受けするオーソドックスなくまちゃんが完成します。

オーソドックスなくまちゃんが完成する流ればこうです。まずデザイン部門の人がくまちゃんをデザインします。フツウだと面白くないので斬新な形にしたり飾りをつけたりします。次に上司に承認を得たり会議にかけられたりします。そこでは次のようなことが話し合われます。

会社は絶対に失敗が許されないから、冒険ができない

①作業工程が複雑でなく工場で量産できるのに向いているデザインか？

②人の手が加わるにしても、誰もができる作業か。つまり人件費や教育費が沢山かからないか？

③材料費を含め一つの商品にかかる全てのコストのこと

④大量生産したとして売れ残らないか？万人受けするデザインか？

等々検討しているうちに、初めにデザイナーさんがデザインした斬新なくまちゃんが、最終的にはごく一般的なくまちゃんに変更され承認されることでしょう。

それはそうです。絶対に失敗は許されないのですから当然です。だから、デパートで売られているぬいぐるみのくまちゃんはほぼフツウのくまちゃんなのです。そのような視点でデパートに売られている布くまちゃんを観察してみてください。平々凡々なくまちゃんが多いことに気が付くはずです。

ハンドメイドは、自分で市場調査して作品にフィードバックできる

ハンドメイド販売はちょこっと作っては試し売りし、すぐに回答が見れる

ハンドメイドのくまちゃんは、自分で気軽に市場調査し少しずつ商品にフィードバックさせることができます。そして最終的に定番商品や売れ筋商品を作り上げることができます。会議室であーでもないこーでもないと論じているより、確実で速くローコストで理想の商品が完成します。会議→承認→打ち合わせ…時間がかかりますよね。しかもそれが正解かどうかは販売してみないことには答えがでない。まあ会社でもいきなり大量には売らずに試し売りはするのでしょうが、ハンドメイドよりは圧倒的に時間とコストがかかります。

デザインを冒険したものを含め、殆どのデザインのあみぐるみくまちゃんが売れた

ちなみにぽかぽかざっくりんでは、過去にデザインしたあみぐるみは、数を測って計算したわけではないですが体感的にはザッと95%くらい、つまりほとんどのデザインは売り切っているのではないかと思います。

再販していないデザインのあみぐるみもありますが、一応編み図は保管してあります。どうして再販しなかったといいますと、「製作の難易度が高すぎたからもう少し価格を上げないと割に合わないが、それだと売り場やパッケージを変えなければいけないから保留にしている」「材料が仕入れ先に置かなくなった」「自分の好み的には、複雑でごちゃごちゃしたデザインで誤魔化すよりも、シンプルでも可愛いデザインにしないと納得できなかった」「売れるまでに時間がかかった」など様々な理由からです。

というわけで、かぎ針編みのあみぐるみくまちゃんの良いところは、少しずつしかも思い切って様々なデザインを挑戦できることでした。